X(Twitter)をビジネス活用する上で、1つ1つの投稿がどれだけ効果を発揮しているかを把握することは非常に重要です。
本記事では、投稿(ポスト)単位でのアナリティクスに焦点を当てて詳しく解説します。実際の画面の見方から、活用のコツまで、担当者がすぐに使いこなせるようになる実践的な情報をお届けします。
Xの「ポスト(ツイート)アナリティクス」とは何か
X(Twitter)では、個別の投稿ごとに数値を分析できる「ポスト(ツイート)アナリティクス」が用意されています。
個別投稿に対するユーザーの反応を可視化することで、運用改善に欠かせないフォロワーとの反応の違いや、投稿内容の改善点など新しい視点が見えてきます。
ポスト(ツイート)単位のアナリティクスが注目される理由
企業や個人事業主がXを活用する際、従来はアカウント全体のフォロワー数やインプレッション数に目が向きがちでした。しかし、近年では1つ1つのポスト(ツイート)単位での分析が、より重要視されるようになっています。
その理由のひとつが、投稿ごとにユーザーの反応が大きく異なるためです。
たとえば、同じテーマでも画像付き投稿とテキストのみの投稿では、クリック率やリポスト数に差が出ることがあります。また、時間帯や曜日によっても反応が変化することから、「何が」「いつ」「どのように」効果的だったのかを検証するにはポスト単位の視点が欠かせません。
さらに、SNSマーケティングの運用体制がチームで行われることも増えており、「この投稿はなぜ反響があったのか?」という要因分析がチーム内での共通認識として求められるケースも多くなっています。その意味でも、個別投稿のアナリティクスは、施策改善の出発点として非常に有効です。
確認できる主な指標(インプレッション・エンゲージメントなど)
ポスト(ツイート)アナリティクスでは、投稿ごとに次のような指標を確認できます。
- インプレッション数
そのポストがタイムラインに表示された合計回数 - エンゲージメント数
クリック・リポスト・いいね・返信などの総合アクション数 - エンゲージメント率
インプレッション数に対するエンゲージメントの割合(%)
※インプレッション数とエンゲージメント数より算出 - プロフィールクリック数
そのポスト経由でプロフィールが開かれた回数 - リンククリック数
外部URLがクリックされた回数 - 詳細表示数
ポストの詳細を開いて読まれた回数
これらの指標は、投稿右下のグラフアイコン(アクティビティ表示)からすぐに確認でき、投稿内容ごとのパフォーマンスを定量的に把握するのに役立ちます。
とくに「エンゲージメント率」は、反応の割合を示す指標であるため、フォロワー数に関係なくパフォーマンスの高さを相対的に比較できる便利な数値です。
アナリティクスで見逃しがちなポイント
ポストアナリティクスは非常に有用ですが、意外と見落とされがちな点もあります。たとえば、「リンククリック」や「詳細表示」など、目立たないアクションにも注目することが重要です。
投稿によっては、リポストやいいねは少ないものの、詳細表示やリンククリックが多いケースもあります。こうした場合、「表面的な反応(いいねなど)」よりも、本当に興味を持ったユーザーが多かった投稿である可能性があります。
また、「プロフィールクリック数」も見逃せません。投稿をきっかけにアカウント自体に興味を持たれているかどうかがわかるため、ブランディングやフォロワー獲得につながる指標として重視する企業もあります。
数値を単体で見るのではなく、複数指標をセットで読み解くことで、より的確な改善策が見えてくるでしょう。
ポスト(ツイート)アクティビティの確認方法と操作手順
X(Twitter)では、誰でも簡単にポスト(ツイート)アナリティクスを確認できますが、アカウント単位ではなく投稿単位での深掘り分析を行いたい場合は、Xプレミアムの機能を使うことで、より戦略的な運用が可能になります。
ここでは、PC・モバイル両方の確認手順と、各画面で見られる内容を解説します。
Xアナリティクス画面へのアクセス手順(PC・モバイル)
ポスト(ツイート)のアクティビティは、投稿右下に表示される「アクティビティ表示アイコン(棒グラフマーク)」をクリックまたはタップすることで確認できます。
【PC版(ブラウザ)】
- Xにログインし、自分のプロフィールページへアクセス
- 対象のポスト(ツイート)を探し、右下のグラフアイコンをクリック
- ポストアクティビティ画面がポップアップで表示され、各種指標を確認可能
【モバイルアプリ版】
- Xアプリを起動し、自分の投稿一覧を表示
- 対象ポストのグラフアイコンをタップ
- インプレッション数やエンゲージメント数などが一覧で表示される
いずれの方法でも、ログイン中の自分の投稿に限りアクティビティが確認できます。他人の投稿にはこの機能は表示されませんので注意が必要です。
「ポスト」タブで確認できる内容(※Xプレミアム以上が対象)
投稿を一覧で比較・分析できる「Xアナリティクス(https://analytics.twitter.com)」の「ポスト」タブは、現在『Xプレミアム以上』のプラン利用者のみがアクセス可能な機能です。
このタブでは、以下のような情報をまとめて確認することができます。
- 各ポストごとのインプレッション数、エンゲージメント数、エンゲージメント率
- 投稿日時、投稿形式(画像あり/リンク付きなど)
- ソートやフィルタリング機能での比較
プレミアム未加入のユーザーは、個別ポストの「アクティビティ表示(棒グラフアイコン)」からしかデータを確認できませんが、プレミアムユーザーであれば、過去の投稿を一括して比較分析することができ、運用の効率化につながります。
期間変更とCSVエクスポート機能の活用法(※Xプレミアム以上が対象)
同様に、期間を変更してデータを絞り込んだり、投稿データをCSV形式でダウンロードする機能もXプレミアム以上の機能です。
この機能を活用することで
- 特定月のキャンペーン成果だけを抽出して比較
- エクセルに取り込み、グラフ化や部門レポートに活用
- 定期的な運用報告に活かすためのベースデータとして利用
といった形で、マーケティングPDCAの強力な土台として活かせます。
なお、Xプレミアムは2025年5月現在、月額課金制である一方、アナリティクス目的で加入する企業アカウントも増えつています。分析機能の拡張性を重視するなら、導入を検討する価値はあるでしょう。

X公式のアナリティクス機能でできること・できないこと
X(Twitter)公式のアナリティクスはX公式のアナリティクスは「投稿直後の反応を即座に確認する」には便利な機能ですが、すべての情報が無料で見られるわけではなく、「深掘り・比較・共有」などの高度な分析には限界があります。ここでは、実際に「できること」「できないこと」を整理し、どのように活用すべきかを解説します。
確認できるのは「自分の投稿」のみ
まず前提として、Xアナリティクスで確認できるのは自分が投稿したポスト(ツイート)のみです。他のユーザーがどれくらい反応を得ているか、どんなクリックがあったかなどは、X公式機能では見ることができません。
つまり、競合他社やインフルエンサーのパフォーマンスを直接分析することはできず、自社アカウントの運用改善に集中する目的で使うツールと言えます。
この点を知らずに「他社の投稿も分析できると思っていた」というケースもありますので、対象範囲はあくまで「自分の投稿」に限定されているということを事前に把握しておくと安心です。
投稿単位の詳細分析には十分か?
Xアナリティクスは、投稿ごとの数値を確認するには十分な基本機能を備えています。特に、インプレッション数・エンゲージメント数・リンククリック数などの指標は、ほぼリアルタイムで反映され、投稿直後の反応を把握するには便利です。
一方で、「どのユーザー層に届いているのか」「どういった属性の人がクリックしているのか」といった属性分析やセグメントごとの動向把握はできません。
また、個別ポストに関する指標は一つひとつ開いて確認する必要があり、複数投稿を一覧で比較したい場合や長期的な傾向を捉えたい場合は、Xプレミアムへの加入が必要になります。
外部ツールが必要になるケースとは
次のような分析ニーズがある場合は、X公式のアナリティクス機能だけでは不十分で、外部ツールの導入を検討する必要があります。
- 複数の投稿を一括比較・レポート化したい
- 特定のキャンペーン投稿だけを抽出して分析したい
- フォロワーの属性(地域・性別・興味関心など)を詳しく知りたい
- 他社アカウントとの比較や競合リサーチを行いたい
- チームで分析を共有し、コメントを加えて運用改善につなげたい
代表的な外部ツールには、SocialDog や Buffer、Hootsuite などがありますが、いずれもXアナリティクスにはない高度な比較・可視化機能を備えており、企業アカウントの運用には重宝されます。
ただし、こうしたツールも無料では制限があり、分析対象の投稿数や保存期間、CSV出力の可否などはプランによって異なります。公式アナリティクスと併用しながら、運用規模に応じて選ぶと良いでしょう。
このように、X公式のアナリティクスは「投稿直後の反応を即座に確認する」には便利な機能ですが、「深掘り・比較・共有」などの高度な分析には限界があります。目的に応じて、外部ツールとの住み分けを意識することが大切です。
ポスト単位での分析がもたらす3つのメリット
ポスト(ツイート)単位のアナリティクスは、単なる数値確認にとどまらず、「傾向の発見」「型の最適化」「改善のスピードアップ」といった、運用全体を加速させる大きな武器となります。ここでは、分析がもたらすメリットついて紹介します。
投稿ごとの反応からユーザー傾向がわかる
1つ1つの投稿には、それぞれ異なる反応があります。ポスト単位のアナリティクスを確認することで、「どんなテーマ」「どんな表現」「どんな構成」がユーザーに響いているのかを掴むことができます。
たとえば、以下のような気づきが得られます。
- 同じサービス紹介でも、【導入→課題→解決策】の構成の方が反応が高い
- キャッチコピーを絞った方がクリック数が上がる
- 動画付き投稿より、画像1枚の方がエンゲージメント率が高い
これらは、アカウント全体の平均値からでは見えてこない部分です。投稿単位のデータを見ることで、ユーザーがどんな情報を「選び」「反応しているか」を把握できるのです。
効果の高い投稿スタイルを見つけやすい
分析を続けるうちに、自分のアカウントで反応の良い投稿スタイル(フォーマット)が明確になってきます。たとえば、
- 「1枚画像+短めの紹介文+URL」パターンがクリック率に強い
- 「数字入り見出し+スレッド投稿」の構成でリポストが増える
- 平日の夕方に投稿する「お役立ち情報」がエンゲージメント率高め
こうした傾向を掴むことで、「うまくいった投稿の型」を再現しやすくなり、PDCAを効率化した安定的な運用につながります。
さらに、投稿スタイルの傾向が見えてくれば、キャンペーン時や広告配信前にも、その形式を応用して成功確率を上げることができます。
PDCAサイクルが加速し、成果につながる
ポスト単位の分析を行うことで、単なる「振り返り」にとどまらず、明確な改善アクションが設定しやすくなります。つまり、以下のようにPDCAが回りやすくなるのです。
- Plan(計画):効果の高い投稿パターンをベースにした仮説設定
- Do(実行):投稿時間・内容・構成を工夫して実行
- Check(確認):アナリティクスで各指標を分析
- Act(改善):反応に応じて構成やタイミングを修正
特に企業アカウントでは、担当者が週次・月次でレポートを作成するケースも多く、ポスト単位のデータがあれば、具体的かつ行動に直結する改善提案がしやすくなります。
また、投稿ごとの結果を共有することで、社内で「何が成功要因だったか」を言語化しやすくなり、チーム全体のナレッジ化にもつながります。
実際のビジネス活用例と改善へのヒント
アナリティクスの数値は「ただの結果」ではなく、「改善へのヒント」が詰まった貴重なデータです。投稿を重ねるごとに分析の視点も磨かれていくため、まずは一つずつ気になる数値から向き合ってみることが、運用改善の第一歩となります。
では、ポスト(ツイート)アナリティクスの数値をどう読み解き、実際の改善に活かせばよいのか。仮想シナリオを用いた活用例をもとに、投稿の質を高めるための具体的なヒントをご紹介します。
アナリティクスから導く改善シナリオ
たとえば、あるサービス紹介のポストで以下のような数値が出たとします。
- インプレッション数:5,000
- エンゲージメント数:50
- エンゲージメント率:1.0%
- プロフィールクリック数:30
- リンククリック数:5
この場合、インプレッションはそれなりにあるものの、リンククリック数が少なく、コンバージョンに繋がりにくい構成であることが見て取れます。ここから考えられる改善策としては以下のようなものが挙げられます。
- 冒頭の文言を問いかけに変える
「〇〇に悩んでいませんか?」のように興味を引く導入にする - リンクの前に価値訴求を加える
「たった3分で読める解説記事です」など、クリック理由を明確にする - 画像を加えて視認性を上げる
情報が埋もれにくく、タイムライン上でも目に止まりやすくなる
このように、ただ「クリックが少ない」と判断するのではなく、指標ごとの特徴からユーザーの行動心理を読み解き、それに応じた改善を重ねていくことが重要です。
投稿のタイミング・フォーマットの最適化
ポスト(ツイート)アナリティクスを複数の投稿にわたって観察していくと、「どの時間帯・曜日に反応が良いか」や「どの形式(テキストのみ・画像付き・リンク付きなど)が好まれるか」などの傾向が見えてきます。
たとえば、同じ内容でも朝7時の投稿よりも昼12時の投稿の方がインプレッションやエンゲージメントが高かった場合、ターゲットユーザーの生活リズムに合わせて投稿タイミングを変えることで、より効率的にリーチできます。
また、文字数が多すぎるとクリック率が下がる、あるいは画像があるだけでプロフィールクリックが増えるといった傾向も見られることがあります。これらを踏まえて、投稿の型(フォーマット)を仮説→実行→検証→改善のサイクルで洗練させていくことが、成果を安定的に伸ばすコツです。
リンククリック率やCTA効果の測定法
ポストにURLを設置した場合、そのリンククリック数は、直接的なコンバージョン指標として非常に重要です。特に次のような目的を持つ投稿では、クリック数に注目しましょう。
- 商品ページやLPへの誘導
- ブログ記事やメディアへのアクセス促進
- イベントやウェビナーの申込リンク案内
クリック数が少ない場合、URLの位置や文脈に改善の余地があるかもしれません。たとえば、「続きはこちら」や「詳しく見る」などのあいまいな表現よりも、「○○の解決法を今すぐチェック!」といった行動を促す明確なCTA(Call To Action)に変更するだけで、反応率が改善することがあります。
また、プロフィールクリック数が多い場合は、フォロー導線やプロフィール文の改善も合わせて検討することで、間接的な成果(フォロワー増加や認知獲得)につなげることも可能です。
アナリティクスを継続的に活かすための運用習慣とは?
ポスト(ツイート)アナリティクスを一度きりで終わらせず、継続的に改善へとつなげていくには「習慣化」がカギです。日常業務に取り入れやすい形での活用法をご紹介します。数字を味方につけて、ムリなく、ムダなく、成果につなげていきましょう。
週ごと・月ごとの振り返りで傾向を掴む
分析は「投稿直後に確認する」だけではもったいありません。1週間や1か月単位で投稿を振り返ることで、以下のような傾向が見えてきます:
- 平日の朝に投稿した内容の反応が高い
- ○○に関する投稿はエンゲージメント率が高い
- ○○系の投稿はリンククリックがほとんどない
こうした中期的な傾向の把握は、単発の数値では判断しづらいテーマや投稿スタイルの最適化にとって非常に重要です。
振り返りのタイミングを「毎週月曜朝10分だけ」と決めておくことで、無理なく習慣化しやすくなります。投稿の種類ごとにExcelなどで簡単に記録しておくと、比較がしやすくなり、改善のスピードも上がります。
社内共有やチーム報告で効果測定を習慣化
企業アカウントでXを運用している場合、担当者個人だけで完結せずに、チーム全体での振り返りの場を持つことが非常に効果的です。
たとえば、
- 月に1回の「SNS報告会」で上位投稿を共有する
- 「今月最も伸びたポスト」と「伸び悩んだポスト」をチームで分析
- 成果が出た投稿の「構成」「タイミング」「CTA」を共有ナレッジ化する
こうすることで、「なんとなく投稿する」から「目的と成果を意識して投稿する」体制へと変化します。
アナリティクスのデータは、社内での承認や施策提案時にも説得力を高める材料になります。地道な記録が、企画提案や予算獲得の後押しになるケースも少なくありません。
改善アクションに必ず活かすためのチェックポイント
データを見て終わりにしないためには、「次にどう活かすか」のアクションまで落とし込むことが重要です。そこでおすすめなのが、投稿ごとの振り返りにチェックリストを設けておくことです。
例として、
- エンゲージメント率が高かった理由は?
→ 内容・表現・時間帯などの仮説 - クリック率が低かった理由は?
→ CTAの表現・リンクの位置など - フォロワー数増加に貢献した投稿は?
→ プロフィールクリックの多さと関連付け
このように、数値と原因・対策をセットで振り返ることで、次の投稿に活かしやすくなります。
さらに、定期的にこの振り返りを続けることで、運用担当者の「投稿力」も自然と磨かれていきます。アナリティクスは単なる数値ツールではなく、運用者のスキルを育てる伴走者としての側面も持っているのです。
まとめ
X(Twitter)の運用において、ポスト(ツイート)単位でのアナリティクス分析は、もはや“あれば便利”というレベルではなく、日々の改善に不可欠な手段となりつつあります。
今回ご紹介したように、投稿ごとの反応を丁寧に見ていくことで、
- ユーザーが求めている内容や表現の傾向が見える
- 効果の高い投稿パターンを再現できる
- 継続的な改善で成果に繋げられる
といった多くのメリットが得られます。
特に、毎日の小さな気づきを蓄積し、振り返り・共有・改善の習慣として組み込むことが、アカウント運用の質を大きく左右するポイントです。
また、Xアナリティクスは無料でも一部利用できますが、投稿の一覧分析やCSVエクスポートといった高度な機能はプレミアムプランでの提供となります。運用規模や目的に応じて、どこまで機能を活用するかも判断材料となるでしょう。
「感覚」で投稿するのではなく、「データ」を活かして戦略的に運用していく。
その第一歩として、まずは投稿ごとのアクティビティをこまめに確認し、ポスト(ツイート)アナリティクスを日常業務に取り入れていくことをおすすめします。